100円×19年でできたこと

2018年、念願かなってフェリシモ森基金によるインドの植林地に訪れることができました。今回はその中のひとつ、西ベンガル州ジャルバクダ村の植林地のレポートをお届けします。ご賛同いただいたみなさまからお預かりした「100円基金」でできたこと、を少しでもお伝えできたらさいわいです。

『信じられる? ここから見渡す限り全部、砂漠だったんだよ』

タゴール協会(インドでの森づくりをおこなってくれているNGO)の若手スタッフが、インドなまりの英語で初めてここを訪れた私に何度も何度もそう語りかけてきてくれました。「アンビリーバブル…。」拙い英語で伝えるのが精一杯でした。小高い岡の上から見下ろした景色は見渡す限り全部森。多種多様な樹々の中に熱帯ならではの鳥の鳴き声が響き渡るとても豊かな森が拡がっていて、ここが25年前砂漠だったとはとても信じられませんでした。

フェリシモの森基金による、インドでの植林活動がスタートしたのは1999年。みなさまからお預かりした基金とその他の基金あわせて、タゴール協会を通しインド農村部を中心にこれまで2321万本、およそ10,904haの植林を行ってきました。ここ西ベンガル州ジャルバクダ村は、数ある植林プロジェクトのひとつで、1999年から植林を始めた地域です。当時は燃料や家畜の飼料として樹々を伐採しつくしてしまい、乾燥した大地が一面に広がっていたそうです。森を失うということは、生態系の破壊だけでなく、そこで暮らす人達の生活基盤を崩すことにもなるのです。

3つの「生」の循環をつくる活動


インドでの植林は農村そのものの復興につながっています。そこで暮らす生命、そこにある生活、そこで営まれる生業、森を中心に育まれる3つの「生」を取り戻す活動、それが私たちが目指している「森活」です。たとえばジャルバクダ村では植林を始めてから7年たった2006年、18頭の象の群れが帰ってきました。昨年ではなんと51頭もの群れになっていることが確認されたそうです。地元の人がうれしそうにスマホの動画を見せてくれました。森が守られることで、地元の生業と生活も復興していきます。ここ数年でマンゴーの収穫ができるようになり、農家が収入を得られるようになってきました。植林を初めて19年で森を中心に生命・生活・生業が循環する社会ができあがりつつあります。

未来を紡ぐ森づくり


そして「持続的な森づくりで一番大切なのは地元のコミュニティだ」とタゴール協会の方はいいます。何世代も先までこの森を紡いでいくために、「FOR THE FUTURE GENERATION」を合言葉に地元の人たちが子どもたちと一緒に語りあう機会をつくってくれていました。その場では「日本にいるたくさんのお客さまからお預かりした思いを、先の世代までつないでください」とたどたどしい英語で伝えてきました。聞いてくれていた子どもたちのまっすぐな目を見て、このプロジェクトの思いは、100年先、200年先にも続いてくれるはず、そう確信しました。

フェリシモの森基金では今後も引き続き、インドでの植林を始めとした国内外での森づくりを進めていきます。植林だけに留まらず森を中心とした生活・生業・生命を育むプロジェクトの支援を行っていく予定です。ぜひみなさまからのご参加をお待ちしております。